女子力高めなはずなのに
お兄ちゃんは頭をボリボリかきながら渋い顔をした。

「親父、みつかんなくってさ。ドヤ街に紛れちまうと探すのに苦労するんだ」

お父さんは、私の家に来て井川さんに追い返されてから、どこに行ったのかわからない。

あれからうちには一度も来ていない。

私の家に来て追い返されるなんて思ってなかっただろうから、ビビったんだろうな。

「たぶんお金も底をついちゃってるよね……」

「さくら、親父にいくらとられた?」

「1万円」

「じゃあ、それ渡しておくよ」

お兄ちゃんは自分の財布を取り出そうとしたから、急いで止めた。

「いいよ!大丈夫」

「でもよぉ」

「ホントにいいの。今回は私もいけなかったと思うし」

「……そうか?」

「うん」

お父さんが改心したんじゃないかなんて、甘い考えを持った私がいけなかった。
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