女子力高めなはずなのに
吉田課長とは大違い。

まずは何から始めよう、なんてのんびり悩まないでサクサク役割分担も決めて。

この人、本当に仕事できるんだ。

……こんなカッコイイ所、見たくなかったな。

どうしようもない、ドジなヨレヨレねずみ色でいてほしかった。

こんなカッコイイ所見ちゃったら、また惹かれちゃうじゃない……。

「資料の印刷は、データを全部入力し終えてシステム上で確認してからにしよう」

私が原票のファイルを渡すと、井川さんはそう言ってさっさと作業に取りかかった。


井川さん、作業、早っ……。

ピラッピラッと次々原票を渡してくる。

でも、井川さんのスピードは気にしないで、焦らず丁寧に入力しよう。

ここで間違えたら元の子もないし。

黙々と画面を見て一言も喋らずにデータを入力する。

カタカタという音だけがフロアに響いた。

しばらくすると、井川さんが原票の束を持ってトントンッと端を揃えた。

「データの削除、終わったよ。今度は入力を手伝うよ。こっちの山は未入力?」

「うん……、ありがとう」

本当にテキパキと仕事の要領がいい。
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