女子力高めなはずなのに
井川さんはじっと話を聞いていたけど、途中で「押入に猫みたいに隠れてたんだよ」と言ったら突っ込まれた。

「それは可愛く言いすぎだろ」

……いいじゃん、ちょっとくらい可愛く言ったって。

「じゃあ、ドブネズミ」

「……それは悪く言いすぎだろ」

「いや、もうドブネズミでいい」

「ごめんごめん。俺が悪かったよ、口挟んだりして。本当はね、仔猫よりもお前の方がずっと愛くるしくて可愛いよ」

「!」

たとえ冗談でも、そんなことを言われてあっという間に耳まで赤くなった。

その上、赤くなったところで警察官と目が合った。

警察官は「何やってんだか」と言う顔で首を振ると目をそらした。

なんか、スミマセン。

その後も話を続けたけど、顔は少し赤いままだったと思う。


高校卒業して就職したところまで話をしたら、井川さんが「ねえ」と言った。

「お前って、もしかしてブラコン?」

「え?ブラコン?」

何?いきなり。

それって、ブラジャーが小さいコンプレックスじゃないよね?

私が眉をひそめて井川さんを睨むと、井川さんは苦笑いをした。

「ブラザーコンプレックス、だよ」

「ああ、なんだ。そういう言葉の略ね」

私がほっとすると井川さんは変な顔でじろじろ私を見た。
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