女子力高めなはずなのに
「私、やっぱり代わりなんてイヤ……」

「は?」

「……イヤだよ」

下を向いたらまたポタポタと涙の粒が落ちた。

「……どうしたんだよ?」

井川さんは絡めていた指を離して、体を私の方に向けた。

手のひらが頬に触れてハッとする。

やだ、私……。
また自分のことばっかり考えて。

せっかく井川さんが自分の話をしてくれたのに。

私、ホント自己中だな。
嫌になる……。


その時、扉が開く音がした。

「……テメエ!妹が泣いてるってどういうことだよ!」

パッと顔を上げたら、お兄ちゃんが怖い顔をして立っていた。

しまった、なぜこのタイミング!

お兄ちゃん、猛烈な勘違いしちゃってるっ!

「お、お兄ちゃんっ!違うの!」

「お前は黙ってろ」

「お兄ちゃんっ!」

「いいからテメエ、顔貸せよ」

警察官もお兄ちゃんと井川さんの顔を交互に見ている。

でも、井川さんは動じることなくスッと立ち上がってにっこり笑った。

「いいですよ」

あれれ?

井川さん、けっこう度胸が据わってる?

お兄ちゃんの見た目、かなり怖いと思うんだけど。

警察官だってお兄ちゃんが入って来た途端に警戒し始めたし。
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