女子力高めなはずなのに
「むしろ好きですよ、さくらさんのこと」

「じゃあどういうことなんだ?お前まさかっ!体だけ、とかじゃねえだろうな!」

お兄さん、考え過ぎです。

「違いますよ、手ぐらい握りましたけど」

次の瞬間フッと拳が飛んでくるのが分かったからよけた。ちょっと警戒していて良かった。

「よけてんじゃねえよ!」

そんな無茶な……。黙って殴られるほど、俺はお人好しじゃない。

「よけますよ!次はもうよける自信ないんで、殴らないで下さい」

次もよける自信はあったけど、そう言って牽制した。それにしても手を握ったくらいで殴ってくるなんて、それ以上はどうなるんだ?

もしかして、今までの男にもこんなことしていたんだろうか。

「お前、見た目に寄らず喧嘩慣れしてんな?」

「それは……ご想像にお任せします」

お兄さん程ではありません。俺は兄弟喧嘩だけだから。

それにしても、この兄貴は妹を溺愛しているシスコンだ。間違いない。

干渉しすぎて、妹はいつまでたっても手の中で温められた雛鳥のまま巣立ちできない。いや、巣立ちさせないんだろう。

「お前、さくらから話は聞いてんのか?親父のこととか、いろいろ」

「だいたいは」

「……さくらはな、すごく優しい子なんだ。俺が好き放題している間に辛い思いをさせちまったのに、俺を慕って感謝なんかして。あんな辛い思いさせられたのに親父のことも心配して」

確かに、さっきも「お父さんが凍えちゃう」とか言って交番に運ぶことになった。俺だったら放っておくけどな。
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