女子力高めなはずなのに
「いいえ」

「じゃあ付き合ってる女でもいんのか?」

「いいえ」

なんでそんなことを聞くんだ?

コワモテのお兄さんが「顔貸せ」とか言って、話したいことがこれっておかしいだろ。

「じゃあ、アイツは好みじゃないのか?」

「?」

何が言いたいのかさっぱりわからない。

「好みですけど」

俺がストレートに答えたら兄貴は目を細めた。あ、ちょっと怒ったか?

「じゃあなんでアイツが片想いだとか言って苦しんでんだよ!」

お兄さん、怒りの矛先、間違ってますよ!

「それは俺じゃなくて、別の男を好きなんですよ」

それは槇村だろ?

彼女の兄貴は眉間に皺を寄せてもっと目を細めた。お兄さん、その顔、怖いですよ?

「お前がこの間親父を追い返したんじゃねえのか?」

「……確かに、追い返しましたね」

「じゃあ、お前のはずなんだ」

「は?」

「アイツの片思いの相手はお前のはずなんだ」

「そう、でしょうか?」

なんでそうなるんだ?それになんだ、この違和感……。このお兄さん、過干渉では?

「アイツの何が不満なんだよ?」

グイグイ来るな。もし彼女の好きな男が俺だとしたら、このお兄さんは妹の恋愛に首を突っ込みすぎだ。

「不満は全くありません」

「じゃあなんでフッたんだよ」

「フッてませんよ」

「??」

男二人でじっと黙って見つめ合う。なんだろうこれ……。場に耐えられなくて口を開いた。
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