女子力高めなはずなのに
殴られたフリをして戻った時、中野さくらが兄貴を正当化したら、俺より兄貴の方が好きだということ。もしも俺をかばったら、兄貴より俺の方が好きだということ。

兄貴は彼女が俺を選ぶ方に賭けた。

彼女はブラコンではなさそうだが、兄貴のことをすごく慕ってるし……、俺の所に来るはずがない。こんなのデキレースだろ?

全然やる気は出なかったが、どんな反応するのか見てみたいかも、とお遊びで頬を押さえて戻った。

結果。
中野さくらは大きな目をもっと大きく開いて、一直線に俺に走り寄ってきた。

心配そうな顔をして俺を見上げた彼女はたまらなく可愛くて、胸を締め付けられた。その場で思い切り抱き締めたかった。小さな舌打ちと共に、兄貴のえぐるような視線を感じて自重したけど……。

彼女の兄貴の言う通り、彼女の気持ちは俺に向いているんだろうか。……俺も正直そんな感じはしてるんだけど。看病に来てくれた時も、抱き締めた時も、手を繋いだ時も、そんな感じはしていたんだ。

でも、それならなんで俺から離れようとする?なんで槇村のもとに行こうとするんだ?

その理由が分からない。

一直線に走って来たのは、ただ単に彼女が優しいからなんじゃないの?別に俺のことがどうこうとか関係なく。なんて自信を失ってみたり。

結局、彼女の気持ちは分からずじまいで。
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