女子力高めなはずなのに
そして翌日。
彼女は槇村たちの話を聞いてしまった。

喫煙室のそばから、涙をこぼして走り去った中野さくら。喫煙室にはあの時と同じ面子が揃っていたから、間違いなくあの話を聞いてしまったんだろう。

その涙は、槇村に騙されていたことがショックだった涙?それともそんな賭けの対象だったなんてやっぱりショックだった?

どちらにしても、結局彼女を傷つけることになってしまった……。こんなことになるなら、最初から教えてやるべきだった。

後悔しても遅いけど。

とにかく急いで彼女の後を追った。

暗がりの川沿いで、手すりを掴んで小さく震える肩が儚くて、本当は抱き締めたかったけど、自分に自信が持てなかったから、囲い込むだけにしたんだ。
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