女子力高めなはずなのに
ハンカチを返すと、にっこりと間の抜けた笑顔を向けてきた。

またひっくり返すんじゃないのか?コイツ。

だいたい、何でバケツなんかひっくり返したのよ!

このドジ!

「じゃあ」

「はあ、どうも」

ぺこりと頭を下げて去って行く色白やせ眼鏡。

姿勢も猫背だし、ホントにパッとしない奴。

「はあー……」

ため息をついて、経理課に戻った。

ちょっとノムさんに質問しに行っただけだったのに、とんでもない目に遭った。


それにしても、近くで見た槇村さん、カッコ良かったな……。
もうちょっとじっくり観察したかったのに。

……お誘い、途中になっちゃったけど、また誘ってくれるかな。

まさか、あの槇村さんが私のことを見ていてくれたなんて。
ここを辞める前に会いたいだなんて……。

これってやっぱり、期待してもいいよね?

春が来たって思っても、いいよね?

捨てる神あれば拾う神あり?


ああもうっ!

どうしようっ!

ドキドキしちゃうよ。

今度こそ幸せつかめるかも?

なんか一瞬で、昨日までの冴えない私と決別できたような気がする。
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