女子力高めなはずなのに
「いい?さくら、よく聞いて。俺が実家に行って話したいことは二点だけ。さくらと結婚すること。実家を継がないこと。この二点だけ!これについては何があっても内容変更することは絶対にないよ。わかった?」

「うん」

「よしっ!じゃあ、行こう」

出掛けようと手を繋いだら、さくらは心配そうに俺をまっすぐ見た。

「変わっていないかもしれないよ?」

まっすぐに俺を見るさくらをじっと見つめる。

「……うん、わかってる」

俺は少し微笑んで見せた。

さくら、君は心配してくれているんだね?
俺が、親が変わっていることを期待して、傷つくんじゃないかって。
君はわずかに期待する俺の心を分かっているから。

君もそうやって幾度となく親が変わっていることを期待して、親の弱さに直面して裏切られ、傷ついてきたんだろう?

でも、大丈夫。

俺は受け入れに行くんだ。親が変わっていないという現実を直視するために。

親だって人間。聖者じゃない。狭い世界で立場やプライドに雁字搦めになって、己の弱さにも気がつかず身動きできなくなっている。

それを直視しよう。

もしかしたら、俺自身も己の弱さに気づかず甘えた人間なのかもしれない。それでも俺は俺として生きるために、親と対峙しに行くんだ。

人の心はとても弱い。だからと言って弱いばかりじゃない。人の心は強くもなれる。
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