女子力高めなはずなのに
親から愛されるなんて、全く期待していなかった。それなのに。

俺は愛されていた。

本当は、ずっと愛されていたんだ。

愛されたくて、でも愛されなくて、俺はふて腐れて後ろ向きに生きてきた。それなのにこんなこと、今さら気がつくなんて俺は甘ったれた大バカ者だ。

親の弱さを受け入れようだなんておこがましい話だ。俺の親は強かった。弱いのはむしろ俺だったんだ。

もうこの家に来ることはないだろう。母親に会うこともないかもしれない。最後に俺を見下ろした母親のあの黒い瞳を思い出す。

『元気でね』なんて、そんな翻訳、しないでほしい。

宗像さんとはこれからも連絡を取り続けよう。なんなら孫も抱かせてやる。

「さくら……」

「ん?」

「さくらを愛してるよ」

「うん、私も愛してる」

「子どもが生まれたら、俺は分かりやすくベッタベタに愛するよ」

「うん」

「さくらにも毎日愛してるって言う」

「うん……、どうしたの?」

そう答えてさくらは少し体を離すと、驚いた顔をして首を傾げた。

俺と一緒になって泣いたのか、さくらの頬にも涙の筋があったから指で拭った。

「言える時にちゃんと伝えないとね」

「今日、初めて言ってくれたね?」

「本当はね、ずっと愛してるって思ってたよ。でも、言葉にしたら嘘になりそうで怖くて言えなかった。でも、本当に愛してるから。これからはちゃんと言葉で伝えるよ」

両親がしがらみから解き放って用意してくれた俺の自由な道。俺は親のように強くはなれないが、まっすぐに愛を伝え合い、思ったことは何でも言い合える温かい家庭を築こう。
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