女子力高めなはずなのに
どうしよう。

何かあったのかな?

どっちにしても、飲んだらダメじゃん。

それとも、ただ寂しくなって会いに来ただけ?


……開けてみる?

でも、開けたら絶対ひどい目に遭う。

それとも、あれから少しは改心した?


「さくらー」


お父さんの弱々しい声。

静かにそーっと玄関に近づいた。

息をひそめてじっと玄関の外の気配をうかがう。


ガチャッ。


鍵を開けて扉を開けようとノブに手をかけた時、扉が勢いよくバッと開いた。

その一瞬で後悔したけど、そんなのもう遅かった。

乱暴に開いた扉に引っ張られて、バランスを崩して思いっきり壁に頭がガツンとぶつかった。

目の横が痛くて思わずうずくまる。

「さっさと開けろ!」

「……ごめん、なさい」

怖くて擦れた声しか出てこない。
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