不安すぎて
透は、壁にドンッと大きな音を立てて手をつくと、私の行く手を塞いだ。
「ちょっと!」
「そんなに、村田と飲みに行くのが楽しみかよ」
感情を押し殺した声に、私は透を見上げた。
いつも余裕と落ち着きのある目には、自信の無さと悲しみが表れている。
心は慰めてあげたいという思いに揺れたけど、私の中にある怒りの火は消えていない。
意地っ張りな私の一部は、どうやって引いたらいいのか分からなくてパニックになりつつある。
「わ、私なんてほっといて、愛理と楽しくやってればいいでしょ!」
「なんだよ、愛理とって」
「とぼけないでよ! さっきまで、楽しそうにやってたじゃない。べたべた触ることまで許して……おまけに、二人でいなくなって」
「おい、ちょっと待てよ」
「事実でしょ!」
文句を言っているうちに、器の小さな自分に腹がたってきて、涙が流れてきた。