不安すぎて
「なに帰ろうとしてんだよ」
腕を後ろに引っ張られて、目の前でロッカーの扉を乱暴にしめられた。
私は、少し見上げなければいけない透の顔を睨み付けた。
「なにって、業務時間を終えたから、帰ろうとしてるだけですが?」
まだ、透と愛理がイチャイチャしてたことも、二人でいなくなったことへの苛立ちも消えていない。
「私は早く帰りたいんだけど」
珍しく不機嫌で、声を荒げる私に驚いて隙のできた透の手から、腕を引き抜いた。
もう一度ロッカーを開けてコートと鞄を取り出し、落ち着いてる風を装って鍵をしめる。どうか、手が震えていることに気付かれませんように。
「じゃあ、帰るから」
いつもの彼は、私が一人になりたいと思っている時には、敏感に感じとり黙って行かせてくれる。
だから、今日もそのまま行かせてくれると思っていたのに――。