むせかえるよな倉庫の片隅で
「な……っ」
痛みでにじむ視界に映ったのは、初めて間近で見るセンター長の作業着の胸の刺繍だった。
たくましい腕が私の顔の両側に、柵を作っている。
どくんと心臓が跳ね上がった、そのとき。
──ドサドサドサドサ!!
私が今までいじっていた棚の上段から、たくさんの段ボール箱が雪崩を起こし、通路に落ちてきた。
その一つは箱の口が開いていたみたいで、中身の芳香剤の缶が次々にこぼれ、棚から少しはみだしたセンター長の背中に滝のように直撃する。
「いてて……っ」
「センター長!」
苦痛に顔を歪めるセンター長の作業着を、夢中で自分の方に引っ張った。
するとセンター長の顔はますます近くなり、呼吸の音が聞こえるほどになる。
その目は、少し驚いたように、丸くなっていた。
やたら背の高いセンター長の胸が、私の鼻先をくすぐる。
ああ、甘いにおいがする。
お香だけじゃなくて、お菓子のにおい?
それとも、センター長の?
どくどくと暴れる鼓動と比例し、顔が熱くなっていく。
やがて段ボールと商品の雪崩が終ったころ、センター長がそっと体を壁から離した。