ヒミツの空間

私の口元からゆっくり外された俊也くんの右手が、再び壁に当てられる。


右にも左にも、身動きはできない。


真っ直ぐな眼差しに捉えられた。


ドキドキと加速していく鼓動。



例えば――

これが俊也くんの単なる気まぐれだとしても。

今夜限りのことだとしても。


それでもいいと思った。



近づく俊也くんの顔に目を閉じる。


触れ合った唇はひんやりとしていた。


繰り返される優しいキスに、脳内が痺れていく。


満たされない想いを心の奥底に封じ込めて、今置かれた状況に身を委ねる。



叶わない想いなら、いっそのこと時間を止めて――……。



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