ヒミツの空間
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思惑通りに中へ入れた私たち。
非常灯だけが青白く浮かび上がる建物内は、ちょっと薄気味悪かった。
人で溢れる街中を鬼になって探すのも大変だけれど、ひと気のない社内で息を潜めて隠れるのはもっと怖いような気がする。
6人分の足音がやけに響く通路。
一番前を歩いていた俊也くんが振り返り、「それじゃ早速」と、私たちは円陣を作った。
じゃんけんだ。
「最初はグー、」
でも、この場に一人取り残される鬼は、もっとイヤ。
6人の声が静かなフロアに響き渡る。
「ジャンケンポーン!」