お持ち帰りしていいですか?

前後の会話は忘れたけど、チャラ男な新谷が、
「三好〜、おまえってほんとドライだよねー、でも絶対押しに弱いタイプだと思うんだよなぁ」
と私にビールをつぎながらヘラリと笑った。
「どうだろ。てか新谷、ビール零れてる」

私はなみなみとビールをつがれたグラスに視線を注ぎながら確かそう返したと思う。
新谷自体は誰とでも親しいから知らないけれど、私は多分同期の中では新谷が一番仲が良い。

「で、俺とかどう?」

グイッと肩を抱かれて、酔ってるなーとか思いながら苦笑して「遠慮しとこうかな」と答えて肩に回された腕を退けた。


その一場面を思い出して、頭にハテナが浮ぶ。仲が良い、それは間違いではないけれど新谷は誰にでもあんな態度だし。それに私、遠慮すると言ったんだけどな。

「いんや、全然」

私な藤澤君を見つめながら首を振った。

新谷は全くタイプじゃない。チャラ男はテンションがすごく面倒くさい。
でも、押しに弱い、は本当かもしれない。


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