裏腹王子は目覚めのキスを
おばさんは昔から娘がほしかったと言っては、わたしのことを実の娘のように可愛がってくれた。
だからありがたいことに、しょっちゅう『親の贔屓目』を発動させる。
それに引き換え、
「えええ? 普通よこの子なんて。それよりトーゴくんのほうが何倍も美しいじゃない」
「お母さん……黙って」
天然な母に静かにツッコミを入れたあと、女性陣は何故かわたしの話題になった。
「地元でも結構話題よ、羽華ちゃんは。きれいなお嬢さんねーって。三丁目の酒屋さんとこの息子さんにお嫁に来てほしいって言われたんでしょ?」
「ああ、あれは冗談で言ってただけですよ。買い物に行ったときに三十歳になってももらい手がなかったらうちにおいでって、ちょっとからかう感じで」
「ごちそうさまー」
ゲームを中断してテーブルに戻ってきていた子どもたちは、ゲームの続きがしたくてたまらないのか、大急ぎでババロアを完食し、すぐにまた隣の部屋に戻っていく。
そんな息子たちを見送って、圭吾くんがわたしを振り返った。
「俺の職場の知り合いでも、羽華ちゃんのこと気に入ってたヤツがいるよ」
微笑みかけられて、わたしは驚く。
「圭吾くんの職場って……」
「なによ圭吾、こっちの話、聞いてたの?」
女子トークに割り込んできた男子をからかう、といった感じにおばさんが目をすがめると、
「いや、普通に聞こえてたし」
苦笑して圭吾くんは続ける。