裏腹王子は目覚めのキスを
「ぎゃああ!」
わたしの叫びに、左頬を枕に押し付けた繊細な横顔が微かに反応する。重たそうな瞼を押し上げて、彼は面倒そうにわたしを睨んだ。
「うっせえな……」
「と、と、トーゴくん! 何してるのっ」
声をひっくり返しながら、わたしは自分の格好を見下ろした。
ベッドに入ったときと同じパジャマ姿であることを確認して、となりに寝そべる裸身が視界に入らないように背を向ける。
背後でもぞもぞと寝返りを打つ気配に身を固くしていると、消え入りそうな声がした。
「まだ寝かせろよ……」
そのまま意識を失ってしまいそうな気配に思わず振り返る。わたしに背を見せる格好になった彼の腰から下は、ぎりぎり掛布団に隠れているけれど、見えてもいいはずの下着のラインが見当たらない。
もしかして、下も穿いてない?
同じ布団に入っていることが急に恥ずかしくなって、わたしは急いでベッドから足を下ろした。その拍子に布団が引っ掛かり、ぐらりと身体が傾く。
「ひゃああ」
表層雪崩のように掛け布団ごとフローリングに転がり落ちて呆然としていると、背後で声がした。
「……何やってんだよ、お前は」
目を向けると、眠そうな顔を不機嫌に歪めた王子様が、ベッド上でのろのろと胡坐をかき、一糸まとわぬ姿を惜しげもなくこちらにさらした。
意表をつかれたわたしはまともに彼のすべてを見てしまい、ふたたび悲鳴を上げた。