裏腹王子は目覚めのキスを
「どうしよう」
『しょうがないな。俺が役所で取ってきて送ってやるよ』
「本当? そうしてくれると、助かる」
『うん。ていうか、結婚のことはちゃんと考えたほうがいいよ』
それから桜太は思いついたように、ぽつりと言った。
『そういえば,、トーゴ兄ちゃんもそろそろ結婚したいみたい』
「……ええっ!?」
わたしは携帯を落としそうになった。
「桜太、トーゴくんとそんな話したの?」
『いや、SNSで軽くやりとりしただけだけど。俺とみのりの結婚の話題になったときに、“俺もしたい”て返事来たから』
わたしは言葉を失った。
トーゴくん、4ヶ月前には『結婚する気ねえから』なんて言ってたのに、考えを改めたの……?
ということはやっぱり、わたしの知らないうちに誰かと付き合っていたのかもしれない。
結婚したいと思えるような相手が、見つかったのかもしれない。
胸がぎしりと軋んで息を詰めていると、桜太の大人びた声が聞こえた。
『姉ちゃん、宙ぶらりんなままトーゴ兄ちゃんに甘えてんの、やっぱよくないよ』
「うん……」
電話を切ったあと、わたしはしばらく動けなかった。
あのトーゴくんが、結婚を考えてる……。
その事実が、どういうわけが胸をえぐる。