裏腹王子は目覚めのキスを

雑然とした部屋の中に不意に一週間分のニュースを伝える情報番組が流れはじめる。

全裸での就寝を推奨した彼がリモコンでテレビのスイッチを入れたらしい。そのままダイニングテーブルに着いてだらしなく足を組み、タブレット端末を操作しながら大きなあくびをした。

「トーゴくん、今朝は何時に帰ってきたの?」

昨日の話だと、お昼までは帰ってこないと言っていた。だからこそわたしもすっかり油断してトーゴくんのベッドで寝入っていたのに。

「あー……夜中の一時くらいだったかな」

「え、ずいぶん早かったんだね」
 
女の人と朝まで一緒だったわけじゃないんだ、と思っていると、彼は繊細な頬のラインを上げて、嫌そうにわたしを見た。

「地元から出てきた田舎者を、ひとりきりで放っとくわけにいかないだろ」

「い、田舎者……?」
 
対面キッチンの向こうから響く声には棘がある。眉間に皺を寄せた顔は、それでも美しくて、わたしは出かかっていた言葉をのみ込んだ。
 
相変わらず、トーゴくんは口が悪い。でも彼は、夕べ突然訪れたわたしのために、わざわざ自分の予定を変更してくれたのだ。
 
本当のことを素直に言わない、裏腹な性格。
 
そんなところも昔のままで、わたしは肩をすぼめた。

「それで昨日は……」
 
女の人と会ってたの? なんて聞けるはずもなく、泡を流した食器を水切りに重ねる。

幸い、ささやき同然だったわたしの声は彼の耳に届いておらず、トーゴくんは伸びをするように背もたれにのけぞった。

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