裏腹王子は目覚めのキスを
「じゃあ、トーゴくんの――」
「はい、時間切れ」
「ええ?」
腕時計を置くと、トーゴくんはいきなりわたしの布団をめくった。
身体を隠そうとした腕をとられ、そのままベッドに組み敷かれる。
「やっ、ちょっと」
「ていうか、これだけ付けられてんのに『わたしのこと好きなの?』って……」
あらわになった胸元に、赤い痕。
わたしの身体のいたるところで咲いた、赤いしるし。
王子様は自分でつけたそれらをなぞるように舌をすべらせていく。
ぞくぞくと背筋が震えて、言葉にならなかった。
「これだからバカ子は……」
口ではそんなことを言ってても、わたしに優しく触れる指先と、湿った吐息は、王子様の気持ちを正直に語ってる。
きっと、好きなんて言葉よりもずっとずっと、深い気持ち。
「大好き、トーゴくん……」
剥き出しの背中に腕を回してしがみつくと、王子様は目を見開いて、ぶるっと肩を震わせた。
「ホント、ばか……」
噛みしめるように呟き、トーゴくんはわたしの唇を塞いだ。
それは甘く、痺れるような――
<番外編 シンガポールの夜に>
*END*


