裏腹王子は目覚めのキスを
『悪いわねぇ。どう? 統吾の様子は』
「おばさんの予想通り、すごい部屋の有様ですよ」
『やっぱりねぇ。てことは、部屋を片付けてくれる彼女もいないのかしら』
「さあ、どうでしょうか……」
ためらいながら返答すると、おばさんは電話口の向こうで大きなため息をついた。
『あの子ももう三十なのに。どうするつもりなのかしら。いい年していつまでもふらふらしてんじゃないって、羽華ちゃんから言ってやってくれない?』
「そうですね」と曖昧に笑ってから、わたしは話題を切り替えた。
「そういえば、おじさんの具合はどうでした?」
『ああ、うん。今日、一日検査して、結果が出るのは来週ですって。日常生活に支障はないし、とりあえず様子見ね』
「トーゴくん、心配してました」
『結果出てから知らせればいいと思ってたのよ。あの子、忙しくしてるでしょ?』
「そうですね。今朝も早くに出かけちゃったし」
『あの子、ろくな物も食べてないんじゃない? まったく、早く落ち着いてお嫁さんもらえばいいのに』
遠方ということもあって、トーゴくんは一人暮らしを始めて以来、数年に一度しか実家に帰っていないらしい。おばさんはごく普通の親の感覚で、三十路を迎える息子の将来を心配している。
「でも都内だと三十代でもまだまだ独身の人が多いから、トーゴくんも焦ってないのかも」
『そうなのかしら。羽華ちゃんの周りもそうだったの?』