裏腹王子は目覚めのキスを
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休憩を挟みながら岩盤浴を満喫して、わたしたちはそれぞれ温泉に入った。
浴場は広く、地下二千メートル近い場所から組み上げているという温泉のほかに、内風呂としてジャグジーやら天然ハーブ湯やら、いろんな種類のお風呂があって飽きない。
仕事に疲れて死にそうだったとき、よくここに息抜きにきてたな。
あの頃を懐かしく思いながら、わたしは何十人も一度に入れそうな船みたいな形の湯船に浸かった。
お風呂から上がると、ワンピースにボレロという館内着に着替えて待ち合わせをしているラウンジに向かう。
スパ館内には温泉と岩盤浴を心ゆくまで堪能できるように、カフェスペースのほかにレストランとひとり用のリクライニングソファがいくつも用意されたラウンジスペースがある。
ラウンジのソファには個別にテレビモニターが取り付けられているけれど、ほとんどの人は昼寝をしているようだった。
入口から覗いてみたものの、ラウンジにトーゴくんの姿は見当たらない。
煙草吸ってるのかも。
レストルームのとなりの喫煙ルームは入口のガラスにスモークがかかっていて中の様子がわからない。
手持ち無沙汰にラウンジの入口脇にぼうっと立っていたら、前を通り過ぎた男性がクレジットカードのような物を落とした。とっさに身体が動く。
「あの、落としましたよ」
振り返ったのは大学生くらいの男の子だった。
拾い上げたカードを差し出すと、彼は驚いたようにハーフパンツのポケットをまさぐる。