裏腹王子は目覚めのキスを
「なに怒ってるの……?」
トーゴくんはわたしから手を離すと、フロアをぐるりと見回した。
ボックスソファに座った若い女の子達のあたりで視線を留めると、小声になる。
「あのへんの女がチラチラこっち見てんの、わかるか」
「え……うん」
王子様を見つめる女子の視線。
王子様と並ぶ女を値踏みする、厳しい目。
わたしは思わず顔を伏せた。
「俺はよく注目される」
「だから何?」
それだけの美貌を持っているのだからやむを得ないけど、それでも自信過剰だ。
鼻じらむわたしの背を、トーゴくんがとんと叩く。
「お前も見られてるだろ」
「トーゴくんの横にいるから、採点されてるんでしょ」
いい迷惑だ、と声を尖らすと、
「それ、百点だろ」
「……え?」
トーゴくんが、じっとわたしを見下ろした。