裏腹王子は目覚めのキスを
「お前、自己評価低すぎ。俺と並んで釣り合う女なんて、めったにいねえのに」
言葉を失っていると、細長い指に頬をぐにっとつままれた。
「お似合いだってよ。そうささやきあってる声、聞こえねえの?」
「まさか」
苦笑しようとすると、つかまれたままの頬を引っ張られた。
指に込められた力は容赦がなく、振り払おうとしても彼の手は離れない。それどころか強くなる一方だ。
「い、痛い、トーゴくん」
「あのな、俺と並ぶ女はたいてい通りすがりの女から睨まれるんだよ。けどお前は睨まれてない」
「なにそれ、遠まわしに自分がどれだけ見た目が良いかを言いたいの?」
「ちげえよ。ほら、あのへんの女、お前見てうっとりしてんの、わかんねえ?」
そんなまさか、と笑ってわたしは頬をつまむ手を強引に引きはがした。
「それよりお腹空かない? ここのレストラン、なかなか美味しいんだよ」
ひとさし指でレストランのある上階を示すと、トーゴくんは深いため息をついた。