絶対零度の鍵
がっしりと掴まれた手はそのままに、目の前のおかしな言動をする本人を見つめる。


真剣そのものの眼差しに、内心恐怖とまではいかないが、少しの恐ろしさが募る。


だって、これ、本気で言っているとしたら、かなり夢見る少女ちゃん、だぜ?


記憶喪失かなんかで今までの記憶塗りかえられちゃっているのかな。


正直、今言ったことの99パーセントはわかんねぇ。


ただ、1パーセントわかったのは。



「地球が、滅びる?」



このワードだけ。


でも聞き間違いかもしれないから、確認の意を込めて訊き返した。


こっくりと、右京は頷く。


その顔つきは、冗談で言っているようには、残念だけど見えなかった。


だけど―


「別に、いいんじゃない?」


僕の口からはこれしかでてこないよ。
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