厄介なkissを、きみと ー fairy tail ー
「おはよー」
「おはよ」
朝の挨拶が飛び交う中、昨日オレたちが家の前を通ったことを知らないであろうあゆみが、オレの右ナナメ前で、
「もしかして、プリント忘れてきちゃった?」
と、ひとりごとを言っている。
クラスの中でも大人びた雰囲気のあゆみは、黙っているとどこか冷めたような、そんな印象を受けるのだけど。
「つい、うっかり」って性格のおかげか、すっかり「かわいい」キャラで通ってしまっている。
「おかしいなぁ」
そう言って首を傾げたあゆみの、後ろでひとつに束ねた髪が、セーラー服の襟を撫でるようにサラサラと揺れる。
「おはよう」
「…………」
「翔平くん?」
「…………」
「…あ。今日も、」
「うわぁぁぁっ」
教室に響いたのは、ガッタンって大きな音と、オレの声。