きっと恋、これは恋。
複雑な心境を言葉にできないまま、
俺は、佐久間とひなたと一緒に家までの道を歩いている。
…昨日までは、二人きりだったのに。
せっかく両想いだということが分かって
カップルになったわけだけども。
ひなたはこの状況をおかしいとは感じていないらしい。
二人がいいのに。
そっと、誰にも聞こえないような声で呟いた。
ひなたと佐久間はなにやら仲良さげに、
笑い合いながら会話を弾ませていた。
そんな中、俺は一人会話に混じることができず
楽しそうに話す二人を横目に歩いていた。
…なんで俺が一人になってるんだよ…。
おかしすぎるこのバランス。
なぜせっかくカレカノへと関係が進歩したはずの俺らの間に、
佐久間がはいってくるんだ?
なぜ彼氏が彼女と手を繋いだり、
いちゃつくことができない?
なぜ彼女が楽しそうに話している相手が、
彼氏ではなくて部外者なんだ?
その全てがどうにも気にくわない。
佐久間の存在すら、
俺には迷惑でしかなかった。