極妻
出口は張ってるって言うてた。それにここをでたら、どこでアイツらに出くわすか分からん。


何人もおるみたいやし、うちには武器もスマホもないし、助けも呼べん。けどここに隠れてても見つかるのは時間の問題や!


ちゅうか、だいたい誰やアイツら!?うちのこと待ち伏せしとった!?まさか!?


このとき頭に朔夜が浮かんだ。
ここにうちを呼び出したんは朔夜や。


……でもそんな、嘘やろ!?
そんな筈は……!


ほな、なんでこんなことに!?


さっきの声のなかに朔夜がいなかったか考えた。どれも違ってる気がするけど確信が持てん。


闇のなかにいると、疑心暗鬼という名の鬼に心を支配されそうになる。


わけの分からなくて、涙が込み上げてきた。朔夜に嵌められたかもしれんことが、怖くてショックやった。


「………ッ」


違う


私は首をふった。


……旦那さんやない。朔夜がうちを殺そうとするはずない……。


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