極妻
私はゴジッと涙を腕でぬぐった。


そうや、絶対に朔夜のワケない。


なんとしてもここを出て、アイツらの正体暴いたる。誰が殺されるかボケ!


朔夜を信じようと決めたら、心が落ち着いて勇気がわいてきた。そして、不思議なことに、とても朔夜に会いたくなった。


でも、そのとき、私のうしろで音もなく部屋のドアが開いたんや。


「……ッ!?」


それにハッと気づいた時、すでに口を塞がれていた。


「……ンンンッッ!!!?」


見つかった!今度こそ終わり!?


心臓が痙攣してビクビクッと震えた。でもさっきと違い、今度は皮手袋をはめてない。


それどころか細く冷たく、女のように華奢な指やと思った。


するとその手の持ち主は、私の耳元でちいさく囁いた。


「小夜子様、お静かに」


「………!?」


こ、この声……嘘やろ……何で…!?


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