極妻
お兄ちゃんは、この大倭会の若頭として、そしていずれ組の長になる立場として、私の結婚に反対なんかできない。


もし御劔組と戦争なんてことになったら、たくさん犠牲者がでる。同盟を組んだ方がええんや。



「それよりも……うちは嬉しいんやで!ホンマは大倭会なんてどえでもええけど、尊お兄ちゃんの役にたてるんやもん!」


「……小夜子」


「ホンマやで!うちの白無垢姿、楽しみにしててや!」


涙が落ちそうになったので、顔をお湯でじゃぶじゃぶ洗ってごまかした。


口から出任せの嘘やったけれど、お兄ちゃんを困らせとうないから、強がって笑ってみせた。


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