極妻
用意された寝巻きに着替え、脱衣所を出ると、ドキッとした。


そこに昼間出迎えてくれたメイドさんの一人が立っていたから。


灯りのおさえられた廊下で、人形のような顔がなんとなく不気味だった。


「お屋敷は広うございますので、寝室までご案内いたします」


「……あ、ありがとう」


「私は樋ノ上と申します。小夜子さまのお世話をするように、親方様にいわれております」


「そう…なんや……よろしく」



私とそう歳が変わらなそうな樋ノ上さんに案内されて、いりくんだ廊下を歩いた。確かにひとりでは迷いそうなほど遠い。



けどこれで、逃げ出すタイミングはなくしてしまった。


「こちらでございます」


そしてとうとう屋敷の奥にある、その部屋についた。


ゴクッ…と唾を飲みこむ。




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