二十年後のクリスマスイブ
時間は、止まらない…自然でツボを得た完璧なエスコートに真由美は、桐人に魅入らされるだけで時が過ぎている事等、忘れ完全に浮き世から引き離されていた。

 そして…現実は、心地良く夜明けを迎えゆっくりと瞼を開いた時も、真由美は夢から、まだ醒まさしては貰えなかった。

「ずっと、こうしてくれて居たの?」

 隣には、穏やかな優しい表情で寝起きの真由美を見つめる桐人が居た。 真由美は、自分を支えてくれていた桐人の細いが強い筋肉質の左腕を、愛おしくさすりながら微笑んだ。

「ありがとう…私の為にこんな素敵な時間を創ってくれて……」

 桐人は無言で真由美の黒髪を右手で撫でた。

「お別れなんだね…でも麻薬だよ…桐人さんは、きっと!………私は、貴方を忘れない…」

 真由美が、桐人の胸に顔を寄せて惜しんだ。

「お別れだよ…真由美…そして、ホストの桐人という存在もね…」


 運命とは面白く、最期と当人達も思っていた事が実は二人の縁の始まりだという事に、この時は思いも寄らない事だった…
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