二十年後のクリスマスイブ
「しかし、真由美は良く通ってくれたよなぁ…」

「だって、どれだけ居ても何時も三千円の会計だったじゃない…」

「叱ってばっかで済まなかったね…」

「『こんな所、来るんじゃない!何度言えばわかるんだ!!』ってね。親身になって言ってくれた…私は悪いお客だったのかな?」

「いや…真由美は、店の中での俺のオアシスみたいなものだった。売り上げを上げるのにも利用させてもらったしね…そんなでも来てくれてた事に感謝してるよ。」

「桐人さんは、何でホストになったの?」

「最初は、金の為だったよ。でも…途中から人生の勉強をさせて貰ってたような気がする。女の生態ってのは、良く判った気がしたけど…それは、独り善がりだったんだね、一番大事な女性の気持ちを、いつの間にか忘れていた…愚か者だよ。」

「桐人さんは、ホントに優しい人だと思う…男、女、いや…全ての縁があるものに対して思いやりがあるから、皆が寄ってくるんじゃないの?桐人さんの悪口言う人って皆に嫌われる人ばかりじゃない…」


「……」


「私は、……大好き…桐人さんが…」


「時間が来たよ…送るよ…」

 桐人がベッドから静かに抜けて言った。
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