病弱女子とお医者様
 『咲大丈夫?意識飛ばしたけど』

咲「……」

 『さ~き。お口あるでしょ?
  答えて。』

咲「…大丈夫。」

 『そっか。点滴もうすぐ終わるから
  点滴終わったら、帰ろうね。』

そう言うと、咲は頷いた。

さっきから咲は口数が
少なくなった。

 『咲。現実は厳しいようだけど
  治すためには必要なことなの。』

そう言うと咲は泣き出した。

俺は何も言わず、
咲の頭を撫でたり、
涙を拭ったりした。

 『咲。何で泣いてるの?』

そう聞いても何も答えない咲。

 『咲。話してごらん』

咲「…辛いの。私だけこんなに
  体が弱くて。親が何でこんな風に
  私を産んだんだろう?って思うと
  辛いの。」

俺は咲の考えていることに
最初は言葉を失った。

でもすぐには答えが出た。

 『咲これは試練なんだよ。
  生きるためには、こういうことも
  耐えなきゃいけないの。わかる?』

咲は頷いた。

 『じゃあ頑張ろう?
  俺も咲と一緒に闘うから。』

そう言うと咲は涙を流しながら
頷いてくれた。

これで一安心だと思った。

 『咲泣くなよ』

そう言いながら慰めて
涙を拭う。

咲頑張ろう。そう胸に秘めながら。

【葵】END
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