可愛くねぇ





のんちゃんが可愛いのなんて、あいつに言われなくても分かってる。

わざわざ言われたくなんてない。


黒髪でお下げで可愛いげのない私なんかより、ふんわり癖ッ毛でおっとりしたのんちゃんの方が誰だって可愛いと思うよ。


ほとんどの男の子はのんちゃんが好きで、私なんてのんちゃんの引き立て役でしかない。


そんなの分かってるから...分かってるからこそ朔にだけは言われたくなかった。



「...胸が苦しいよ」

バカ朔、私の気持ちなんてあんたは、気付かないよね?


朔にだけは.....言われたくなかったよ。



ポタポタ落ちる涙。

今だけは泣かせて。


この涙が枯れたら、また可愛いげのない私に戻るんだ。



可愛くなりたいなぁ。

朔に可愛いって思われたい。



「アハハ...バカみたいだよね?」

私なんて一生無理じゃん。


可愛くなくて乱暴で女の子になんて見えないよね。



朔ものんちゃんが好きなのかな?

二人がくっついちゃったら、私は今までみたいに笑えるかな?


あ~ぁ、自信ないなぁ。


空を見上げた涙を我慢する。


だけど両目に腕を押し当てても止まってくれそうにない。



今までだって何度も泣いたのに、今回は止まりそうにないよ。



朔に彼女が出来る度にこんな風に泣いてきたこの一年。


そろそろ、朔の事は諦めないといけないね。


だって、のんちゃんの彼になったら、側で笑う自信ないもん。



今まで朔は私とは正反対の可愛らしい女の子と付き合ってきた。


だけど、付き合う期間は凄く短くて、朔が本気じゃないとどこか安心してた。


でも、もう.....ダメだよ。


朔、私もう無理だよ。








< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop