可愛くねぇ
「昨日は、お前に触れるには整理してねぇもんがあったから、見てるしか出来なかったけど。もう全部片付けたから、だから遠慮しねぇ。俺にはもうお前だけしか居ねぇから」
そう言うと朔は壁に両手をつけたままで再び距離を縮めた。
「い、意味分かんないんだけど...」
心が震える。
「意味もなんもねぇ。メグはこれから俺のモンだってことだろ」
この俺様を、誰か叱りつけてやってください。
「なっ...なによそれ」
ポロポロ落ちる涙。
「あ~クソッ、可愛すぎんだよ」
困った顔をしたくせに、嬉しそうにキスすんな。
だけど、そんな朔にキスされて嬉しいって思ってる私も重症だ。
「..っん..」
深まるキスに甘い声が漏れる。
「好きだバカ」
「私も好きだ、バカ」
二人で顔を見合わせて微笑んだ。
生まれて初めての壁ドンは私の心を素直にしてくれたらしい。
「遅せぇ」
「朔もね?」
遠回りしたけど、二人の手が繋がった。
繋いだこの手を離さないで、ねぇ?朔。
「おら、行くぞ」
照れ臭そうに笑う朔が愛しいと思った。
初めて見たそんな姿の胸キュンした私。
「ん。仕事しなきゃ」
朔が好きだよ。
ずっとずっと好きだったよ。
「希に報告しなきゃな?あいつ、応援してくれてたから」
なんとのんちゃんは、朔の相談に乗ってたのか!
「えっ!のんちゃんに相談してたの?」
「ああ、お前に一番近いのは希だしな」
サラッとそんなこと言ってもさ。
「朔って今まで彼女居たじゃん」
「お前が俺を意識しねぇからだろうが!」
と怒られても、私は初めから朔が好きだし。
「ずっと好きだったし」
「なら、早く言えよな?遠回りしたじゃねぇか」
俺様朔は私のせいにするのか!
「朔こそ、早く言ってよ」
「うっせぇ」
二人で睨み合うけど、いつもみたいに怒鳴り合いにはならないね。
チュッと触れるだけのキスが落ちてくる。
あぁ、朔が恋人にこんなにも甘いなんて知らなかったよ。
ドキドキして倒れそうだ。