薬指の秘密
「ま、鈍感でうぶなしるふには、首輪よりも手錠よりもわかりやすくていいと思うけど」

と、何気に失礼な莉彩である

「それ海斗も同じこと言ってた。わかりやすくていいだろって」

そんなに私鈍感かな

指輪をはめ直して首をかしげるしるふ横目に

「最近思うんだけど、黒崎先生って何気独占欲強いわよね」

なんてつぶやく

「何言ってるの莉彩。彼女が他の男に告白されるような状況を作りだす男だよ?しかも大して慌てないっていうね」

実は少し根に持っているのである

「しるふは知らないだろうけど、しるふをうちの病院にって言う人結構いるのよ」

「引き抜きってこと?」

私一度も言われたことないけど

てか、私より黒崎先生を引き抜いた方がいいんじゃないかな

「黒崎先生は現実的に引き抜けないって思ってるのよ。結局のところあの人はここを継ぐんだろうし、医院長がよしとしないだろうって」

2月と言ってもまだコートは手放せない

「だからって私に来る?」

「見る人見たらわかるのよ。あの黒崎先生の本気について行けるのってしるふだけだし。なにせ黒崎病院のマドンナだしねー」
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