キュンとする距離
「ちぃ先輩!昨日のあれ壁ドンですよね?なにがどうなってあぁなるんですか!」
「え?なになに?ちぃ先輩が壁ドン?なにそれ?だれに?なんで?」
次の日、後輩たちに根掘り葉掘り聞かれたことは言うまでもない。
「どうでした?壁ドン。少しはドキッとする女子の気持ちわかりました?」
「さぁ、どうだか。」
恋する乙女みたいに胸が高まって、きゅんきゅんしたのは私だけの秘密。
「えー!絶対した!この顔は絶対胸きゅんした顔ですね!」
壁ドン、それは『はぁ?何様のつもり?』なんて可愛げのないことを思うことなどなく、ばかみたいにときめくものでした。
そして、ニタニタ笑うやつが不覚にもかっこよく見える距離で。
背中には壁。身の前には彼。
逃げられない状態に追い込まれたわたしが、キュンとする距離。
-end-
