キュンとする距離


チーン

なぜ、このタイミング。

というなんとも絶妙なタイミングでようやく一階にたどり着く。


「えっ?!ちぃせんぱ…」


不幸なことにも、エレベーター待ちしてたのは昼休みを一緒に過ごした後輩で。

先に帰ったんじゃなかったの?なんでいるのよ!

急いで、山内から抜け出してエレベーターから出る。


「おつかれさまでーす。明日楽しみにしてますね!」


通り過ぎる際に楽しそうにそういった後輩。


「ちひろ待てって。」

「クリームスパゲッティがいい。」

「え?」

「ごはん!食べに行こうっていってんの!」


恥ずかしくて、俯いたままそう言い捨てて早歩きになる。

ぽかんと突っ立ってる山内が数秒遅れて、大股で近寄ってきて、私の左手をとり手を繋いだ。


「俺もそんな気分だった!」

「ばーか。ミートソースじゃなかったの?」

「ううん、俺今すっげークリームパスタな気分!」


どんな気分だよ。

とつっこみながらも、私の頬は緩んでいてしっかりと彼の目を見ていた。

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