色気のない僕ら
「お前はお前、俺は俺のまんまでいいんじゃねぇ?」
「え…」
「いい意味での今さら。俺たち何年つきあってる?かっこ悪いとこも情けないとこもいっぱい見せてきただろ?」
「そう、だけど…」
「それこそ色気は腹巻ぐらいじゃ変わんねぇよ」
「うるさい!どーせ元々色気なんてない!」
「…そうじゃねぇって」
ほんと気付かなきゃよかった。
自分でもここまでバカになると思ってなかった。
自嘲気味に口元を歪ませると。
髪を弄んでいた手を彼女の頬に滑らせた。
「可愛いよ、そのまんまのお前が」
「違う言葉で言って」
「…無理です」
「なんでよ」
「恥ずかしくて言えるか。察しろ」
「バカじゃないの⁈」
「うるせぇよ、腹巻女。お前こそ空気読め」
「なっ…!バカ!ヘタレ!」
さっきまでの甘い空気はどこへやら。
キャンキャン吠えて噛みついてくる彼女。
俺たちはこんなノリでいいんだ。
でも。
「そのヘタレが好きなのはお前だろ?」
「う、うるさいっ!」
そんな噛みついてくる彼女が可愛くて仕方ないんだって。
これからベッドに連れていかれて嫌と言ってもやめてやらないくらい囁かれるなんて。
言う方も言われる方も。
今はまだ思ってもいなかった。
END.
