色気のない僕ら
さっきみたいな優しいキスじゃもう足らない。
ちょっとの隙間も俺のものにしたくて唇を合わせようとする。
でも彼女はそれから逃げようと暴れる。
「ちょっ…やだっ!」
「今さら腹巻ぐらいなんだっつーんだよ」
「今さらってなによ!バカじゃないのっ‼︎」
「腹巻してるお前に欲情してる時点でバカなのは承知」
「もうやだぁ…」
何を言われてももう止める気なんてない。
と、いうか。
止めようがない。
気付いてしまった、友達じゃなくて男と女だった俺たち。
知ってしまった、気心知れた彼女の俺への気持ち。
触れてしまった、しまいこんでた俺自身もわかってなかった俺の本音。
もう全部が俺の中で勝手に繋がってしまっている。
だからもう、諦めなさい。
全部、認めなさい。
そんなことを自分に言い聞かせながら。
暴れる彼女の髪に手を伸ばす。
「…なぁ」
そして、彼女の髪を指先で弄びながら。
俺は言葉を発した。