【短編】くすんだリング。
彼女はつんのめり、通路に出た。質のいいセーター、胸元には大きなダイヤのネックレスが揺れる。足はストッキングだったけれどそのまま構わず、私は体勢を崩した彼女を引き揚げ、そして勢いよく、壁に押し付けた。
「痛いわっ」
「卑怯じゃない! 私の両親に言いつけるなんて!」
「卑怯? あなたに言われる筋合いは無いわ」
そう言い返す彼女の手首の先……薬指にはリング。課長とお揃いの、くすんだリング。そのリングのせいか、彼女の態度は上から目線だ。
「ねえ、話すなら中で座って話さない?」
「結構です。私はここでいいの!」
「ご近所に聞こえるわ」
「だからです、探偵を雇ったのも、両親に言いつけたのも、課長には内緒なんでしょう?」
そうやって手を汚さず生きてるのが許せなかった。私は彼女にも、暗く、汚い道を歩かせたかった。同じ男を愛してるのに、こんなにも綺麗な彼女がどうしても許せなかった。
私はコピーの束を振り上げて、彼女の頬めがけて振り下ろした。
「きゃあああっ!」
「痛いわっ」
「卑怯じゃない! 私の両親に言いつけるなんて!」
「卑怯? あなたに言われる筋合いは無いわ」
そう言い返す彼女の手首の先……薬指にはリング。課長とお揃いの、くすんだリング。そのリングのせいか、彼女の態度は上から目線だ。
「ねえ、話すなら中で座って話さない?」
「結構です。私はここでいいの!」
「ご近所に聞こえるわ」
「だからです、探偵を雇ったのも、両親に言いつけたのも、課長には内緒なんでしょう?」
そうやって手を汚さず生きてるのが許せなかった。私は彼女にも、暗く、汚い道を歩かせたかった。同じ男を愛してるのに、こんなにも綺麗な彼女がどうしても許せなかった。
私はコピーの束を振り上げて、彼女の頬めがけて振り下ろした。
「きゃあああっ!」