【短編】くすんだリング。
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あれから数日。今度は私のスマホにも無言電話が来るようになった。画面に表示される発信元は、非通知だったり公衆電話だったり。フリーメールから空メールが届くこともあった。
ますます私は確信した。
課長には誰かいるんだ、って。
その女の子が嫌がらせをしてるんだ、って。
「いないよ」
「嘘」
「楓だけだ」
彼に聞いても、いない、の一点張り。
「俺にはお前しかいないんだよ、楓。スマホの番号もアドレスも変えてみたらいいだろう。たまたま間違えて、楓の番号を登録してるのかもしれないだろ?」
「……そうだけど」
「楓、愛してる。今はこっちに集中しろよ」
課長はそう言って私の身体にくまなくキスを落としていく。丁寧な愛撫、ゆっくりな律動。もう、誰にも渡したくない。欲しい……欲しい。お願い、誰も邪魔をしないで!って、心の中で叫んでいた。