【短編】くすんだリング。
*─*─*
それから、1ヵ月ほどしたある日。田舎の両親が私の部屋にやってきた。たまに母が来て、部屋の様子を確認していくことはあるけど、父と2人でというのは初めてだった。
土曜日の昼下がり。現れた両親は血相を変えていて。長旅で疲れたのかと思った。部屋に入れ、お茶を出す。
「どうしたの?」
テーブル向かいの2人は、互いに肘鉄をして、何か話をしに来たのに言い出せない、という様子だった。
先に口を開いたのは母だった。
「あのね、楓。これ……」
彼女はハンドバッグから封筒を取り出し、その中から写真を数枚、広げた。
「え……」
「これ、楓よね?」
そこには私と課長の写真。