星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~美姫 side ~


次の日の夕方


ガラガラガラ

蒔田『桜空さん?』

担任の蒔田が来た。

美姫『あ……どうも。』

蒔田『元気そうでよかった。
昨日は大変だったわね。
行けなくてごめんね。
もう大丈夫?』

心配なんてしてないくせによく言うよ。

教師なんて表では心配してるふり

してるけど

ほんとはそんなこと思ってない。

どうせ今だって来たくて来たんじゃないん

だろうね。

「社交辞令」。

そんなんだから教師なんて信用しない。


先生は別だけど。

美姫『あ、はい。
でももう大丈夫です。
少し入院になるそうですけど。』

蒔田『そう…
ゆっくり休んで早く学校に来てくださいね。
あ!そうそう!これ…
テストの採点終わったので持ってきました!』

テスト!

蒔田からテストの入った封筒を受けとり

中をみる。

やっぱまずは…

保健だよね♪


あ!あった!


えーっと………

………………………え?


………89…点?


……見間違い…じゃない…よね……?

う…そ……。

あんなに頑張ったのに…

蒔田が何か言ってるけど

なにも頭に入ってこない…


蒔田『……さん!桜空さん!
大丈夫?体調悪いの!?』

美姫『あ……大丈夫です。
ぼーっとしてただけなので。』

蒔田『大丈夫ならいいんだけど…
そうそうさっきの話なんだけど…
桜空さん今回のテストよかったわね。』

そうなの?

蒔田『苦手な数学と英語も平均点とれてたし
他の教科もいつもよりいいし…
それに…保健!
桜空さん学年トップよ!!』

そうなんだ。

喜んでいいはずなのに

なんでだろ。

嬉しくない。

今までで1番いい結果なのに。

数学も英語も平均点以上もとれてて

すごくいい結果なのに…

美姫『そう…ですか。』

それから少し話して蒔田は帰った。

もう一度テスト用紙をみる。


……あれ、なんでだろ。

涙でみえない…

テストがどんどん濡れていく。

拭いても拭いてもとまらない涙。



先生。

昨日「お楽しみ」って言ったよね?

そんなこと言われたから

大丈夫だって

90点こえてるって

思っちゃったよ?

わたしバカだからさ

期待しちゃってた。

大丈夫だと思ってた。

先生、

あなたはいつもそうだね。

期待させるようなこと言う。


わたしはその言葉をバカみたいに

信じて

そしてあとで辛くなるんだよね。


今日は最高の誕生日になると思ったのに…

最悪の誕生日になっちゃったな。


先生にお祝いしてほしかったなぁ。


どうしよう……。

涙が止まらないよ…。

こんな時に誰か来たら…

♬♪*゚♪。.:*・゜♬

だれ?

メールをみると

詩織『今から行くねーヽ(。ゝω・。)ノ 』

え……やば。

はやく泣きやまないと…

こんなとこみんなにみられたくない。

必死で涙を拭く。


ガラガラガラ

タッタッタ

シャッ!


勢いよくドアを開け

走ってまた勢いよくカーテンを開けたのは…

詩織『美姫ーーーーーー!!!
来たよ〜〜〜〜〜!!』

やっぱり詩織。

夏妃『ちょっと詩織!
そんな勢いよく開けないの!
あと……病院で走らない!』

拓真『幼稚園児かよ。』

柊『高校生にもなって恥ずかしいな。
幼稚園児でも言うことは聞くだろ。』

詩織『みんなそこまで言う!?ねぇ美姫?
……ってあれ?美姫その目どうしたの?』

やば。

気づかれちゃった。

美姫『ん〜ちょっとね…
目がかゆくてかいちゃったらこんなんに
なっちゃった。えへへ~。』

夏妃『えへへじゃないでしょ!
目すごいよ!?
五十嵐先生に言った?』

言うわけないよ。

ただ泣いただけなんだから…。

美姫『言ってないけど大丈夫!
しぱらくしたら治ると思うし!』

夏妃『…ならいいけど…
悪化したら言いなね?』

美姫『うん。』

ほんと夏妃はお姉ちゃんというか

お母さんみたいだなぁ。

詩織『そーーだっ!ねぇ美姫テストもらった?
美姫すごかったね!
保健学年トップだよ!
あたし嬉しくてみんなに自慢しちゃった!』

あ………テストかぁ…。

夏妃『なんであんたが自慢するのよ。
……でも美姫すごかったね!』

美姫『あ、ありがと。』

今は…テストの話聞きたくないな…

あ…また涙が滲んで…

みんなが帰るまでは我慢しないと…

柊『喉かわかねぇ?ちょっと買いに行こーぜ。詩織と夏妃も来いよ。』

そういって3人は部屋を出ていった。

柊もしかして…気づいたのかな…?

3人が出てくと

拓真『……なにかあった?』

さっきまで黙ってた拓真が話しかけてきた。

やっぱ気づいてる…よね。

でも……

美姫『え?なにもないけど?』

すると拓真は顔を近づけてきて

拓真『目。腫れてる。』

そう言って目をみつめてくる。

美姫『さっき言ったでしょ?
かゆくてかいちゃったの。』

拓真『ふーん…すっごくかゆかったんだな。』

うっ…。

やっぱバレてる。

美姫『そ、そうだよ!
ものすごーくかゆかったの!』

拓真『そんなにかゆいなら親父呼ぶ?』

普通の顔して意地悪なこと言う拓真。

美姫『だから大丈夫だってば。』

拓真『だってすごーくかゆいんだろ?』

わかってるならそんなこと言わないでよ。

美姫『もう大丈夫だもん。』

拓真『……でほんとは?』


ほらやっぱりわかってるんじゃん。

美姫『別に?』

さっきまで近づいてた拓真はそのまま

ベッドに座り

拓真『美姫さん?
俺…将来の主治医なんですけど?
主治医にはちゃんと言わないとダメだろ?』

…………うぅ…

なんかそれずるくない?

美姫『病気関係ないから。』

拓真『……じゃあなに?』

はぁ……

やっぱ拓真には嘘つけないな。

美姫『ちょっと嫌なことあっただけ。』

拓真はそれ以上は聞いてこなかった。

拓真『そっか。…俺でよければ話きくからな。』

そういったところで……

ガラガラガラ

詩織たち帰ってきたのかな?

そう思っていると……

『パーーーーーンッ!!!!!』

え?なに!?

みんながクラッカーを持っている。

なにやってんの?

詩織・夏妃・拓真・柊

『美姫!!誕生日おめでとう!!!』
(詩織の声が大きくて柊の声が聞こえない)

………!?

びっくりして黙ってると

詩織『美姫?』

美姫『あ……ごめん。
びっくりしたぁ〜。
みんなありがとね!』

病院にいるからお祝いはなしだと思った。

拓真『また美姫が退院したらパーティー
やろーな!』

美姫『うんっ!』

拓真『俺の母さんも親父もお祝いする気
満々だし。』

美姫『ははっそうなの?
楽しみにしてるね。』

そのあとはみんなで集合写真とって

バイバイした。

写真をみながら改めてみんなの大切さを

思い知る。

最悪な誕生日だと思ったけど…

そこまで悪くなかったかな。

みんながいてくれてよかった。
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