星に願いを~たくさんの幸せをありがとう~



~蒼 side ~



はぁ…


なんでこんな時に限って仕事入っちゃうかな。


一緒に病院行こうと思ってたのに…


美姫にメールを送り

仕事に取り掛かってると


黒木『蒼先生♪』


黒木が入ってきた。


蒼『なに?』


なんとなく嫌な予感


黒木『2人で話したくて。』


……反応に困るんだよな

生徒だから邪険にはできないし…


でも…

蒼『ちょうどよかった。
俺も聞きたいことあったし。』


「聞きたいこと」

それは…


蒼『林間学校で美姫になにした?』

本当は黒木が美姫になにをしたのか知ってる。

でもやっぱ本人から聞きたい。

本当のこと言う確率は低いけど…


黒木『蒼先生には関係ないでしょ?』


蒼『…いいから。』


黒木『言わなくてもわかるでしょ?』


ってことは…

美姫になにかしたのは認めるのか。



黒木『先生?
そんな事言ってたら付き合ってるの
バレバレですよ?』


クスクス笑いながら近づいてくる。


黒木『先生が悪いんだよ?
私の言うこと聞いてくれないから…』


ニコッと笑ってそんなことを言ってくるのが
逆に怖い。


でも俺だってあんなことされて黙ってられない



蒼『…次あんなことしたら許さないから。』


いつもよりキツめに言い黒木をみた。


けど怯む様子はなく…


黒木『バラされてもいいんですか?』


むしろ脅してきた。

そんなことされたら困る。

でもその時の俺には冷静に考えることができなかった。


蒼『勝手にすれば?』


そんなことを言ってしまった。


さすがの黒木も俺がそんなこと言うと思って
なかったらしく驚いているのがわかった。


そのまま何事もなかったかのように仕事をしてると黒木は出て行った。


……………


…俺はなに言ってんだよ

美姫とのことバラされたら困るのに…

俺がクビになるだけならいいけど

美姫に迷惑はかけたくない。


そんな憂鬱な気分で仕事を終わらせ病院に行くと



……やけに賑やかだな。

美姫の病室からは笑い声やら話し声が聞こえてとても病室とは思えない。


ガラガラガラ


ドアを開けると


全員教科書とノートを広げて…

勉強会?

とてもそうにはみえないけど…


蒼『美…桜空遅くなってごめんな。』


五十嵐たちがいるのを忘れて

いつものくせで

「美姫」

と言いそうになったのを慌てて言い直した。



美姫『全然いいよ!
お仕事お疲れさま♪』


いつもの調子で話す美姫。


美姫『ねぇ蒼?
この問題教えて?』


蒼『どこ?』


教えようと近づくと


……え?

今…俺の事

「蒼」

って呼んだ?


……

いやいやそれはマズイだろ。


蒼『…桜空?ここでそういうのは…』


コソっと小声で言うと



美姫『あ、そっか。
蒼知らないのか!』


??

知らないって…なにを?


美姫『なんかね…
わたし達のこと…みんなにバレてたみたい…』


蒼『ふーん……って…え!?』


大したことじゃないと思って聞いてたらまさか…

そんなことって…


みんなの方をみると

松本がニヤニヤしてこっちをみてる。


うっ…

この様子だと…

本当みたいだな。


蒼『まじかよ…』


詩織『まじまじ〜♪』


まだニヤニヤしてる松本が楽しそうに笑ってる。


黒木にもバレてて山瀬にもバレてて

五十嵐にもバレてて…

松本たちにまでバレるとは…


やばいだろ。

学校にバレたら…

と色々考えてると


夏妃『大丈夫ですよ。
ここにいる人以外の人は知らないと思うし…
誰にも言いませんから。』




考えてみればこいつらは美姫の味方なんだし

むやみに言いふらしたりしないよな。


柊『…バレたらこっちも困るしな。』


詩織『みんなで卒業するんだもんね〜♪』


柊『…美姫よりお前の方が卒業できるか心配だけどな。』


夏妃『そういう事なんで心配しないでください。』

なんか少し安心した。

美姫の幼なじみなだけあっていい奴らだな。

五十嵐と山瀬は話に入らずなんとも言えない顔でこっちをみてた。

そういえば…

こいつらも美姫のこと…

そりゃいい気はしないよな。


しばらくすると杉本たちは俺に気をつかって

帰り…

部屋には俺と美姫だけになった。


蒼『みんなに言ったの?』


美姫『…ううん…わかってたんだって。』


わかってたって…

すごいを通り越して

怖いな。

てか…

蒼『なんで山瀬いたの?』

確かもう別れたんじゃなかったっけ?


美姫『んー…なんか流れで?』


流れ?

なんだそれ。

だって別れたんだろ?


美姫『友だちになったの!』


友だちって…

向こうはそんな感じじゃないと思うけど…


そこから美姫は山瀬のことや五十嵐のこと

高木のことを楽しそうに話してきた。

松本や杉本のことも話してたけど

男の話ばかり頭に入ってくる。


美姫『…でねその時拓真が…』


チュッ


美姫が他の男の話してるのがおもしろくなくて

もう話せないように

俺の事しか考えられないように…

キスをした。


美姫『…ん……どうしたの?』


蒼『…別に。』


「他の男の話聞いて嫉妬した」

なんて恥ずかしくて言えない…


美姫『もしかして…ヤキモチ?』


クスッと笑ってる美姫。


蒼『……まーね。』


やっぱこれ

恥ずかしいな…


美姫の顔をみると


あかっ…


そんな反応されたら


ギュッ


美姫『蒼?』


蒼『今のは美姫が悪い。』


あんなのみたら…

抱きしめたくなるだろ。


しばらくそうしてると


美姫『夏休み入院だって。』


俺に抱きしめられながら小さい声でそう言ってきた。


蒼『ずっと?』

美姫『…たぶんね。』


まぁ抜け出して学校来ちゃったし…

しょうがないのかもな…


蒼『外出許可もらえる?』

美姫『わかんない。』


もしもらえるなら…


蒼『外出許可出たらどっか行こっか?』


美姫『いいの!?』


蒼『五十嵐先生の許可が降りたらね。』


美姫『やった!楽しみ♪』


さっきまで落ち込んでたのが嘘のように

ニコニコ笑ってる美姫。


蒼『じゃあ五十嵐先生に聞いといて?
あと、体調悪くなんないようにね。』

美姫『はーい!』


入院してる人とは思えないほど元気に返事をした美姫。

しばらく話して病院を出た。


外出許可出るといいな。

せっかくの休みなんだから色んなとこに行って

たくさん想い出つくって

少しでも多く美姫といたい。


まだ外出許可も降りてないのに

どこに行こうかとかそんなことを考えていた。


< 88 / 142 >

この作品をシェア

pagetop