見た目イケメン、中身キモメン

下が人工芝で良かった。
彼女とつつがなく付き合い、早半年。

今日は午後から彼女とデートする予定だった。

待ち合わせ一時間前から待機する。
寒くても、『倉石さんが好きかと思って』と、白ビキニで来る彼女を想像していたら、既に待ち合わせ時間10分前になっていた。

「あ、今日も私の負けですね」

「……」

いやいやいや、勝っている。今日もあなたの勝ちだ。出会った瞬間にスリーアウト、右ストレート後のバックドロップを食らったぐらい俺の負けだ。

可愛すぎる。白ビキニじゃなくてもいい。モコモコ来た白い天使の方がむしろ想像力をかき立てられる。絶対、白い下着つけているよね、そのモコモコの下!

「いつも、何時に来ているんですか?」

「……」

一時間前どころから、昨日の夜からあなたの妄想ばかりしてろくに眠れず、今なお脳内アドレナリンが大洪水中の俺に、彼女はカイロを渡してきた。

受け取る。
彼女持参のカイロ。この温もりは、彼女そのものと思っていいよな!?

と、とりあえず口に含みたい。しょうが湯よりも効果ありそうなこれを胃に入れて、体内からポカポカになりたい。あ、でもそれじゃあ、彼女が寒くなるか。

カイロを返す。手を繋がれた。

カイロよりも温かああああい!

カイロの温度は50度以上は上がるはずなのに、なんで、彼女の手の方が、もしやインフル!?予防接種(注射)が怖い類なのか、彼女ならしょうがない!

い、いや、落ち着け。単に心の問題だ。
頬を触ってみよう。よし、平熱だな。

「え?なんですか?」

「……」

あなたの手の温度が、俺の脳内を病気にしていきますとは言えないので、微笑みでごまかす。

「もしかして、私の考え、分かりますか?」

「……」

分かりたい。何を思っているのかほんと知りたい、全部知りたい。いっそ脳内だけでなく、体の中とかも知りたい健康保たせてあげたい!

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